季節限定 一人暮らしで辛い ベスト1 続編
殺虫剤を枕元に長い夜が明けた
部屋の壁、天井を見渡しても若ゴキの姿はない
諦めて出て行ったか
いや
これほど快適な空間をみすみす放棄するとは考えにくい
昨晩、巻きまくったため
去年の殺虫剤も残りわずかだ
すぐにでもドラックストアーに行きたいところだが
今日はあいにく朝から予定がある
しかたなく若ゴキを放置したまま外出
帰宅したのは夜の9時
シャワーを浴びるため脱衣所へ
裸になり浴室の折れ戸を開けると
いた~~~
相変わらずオイルまみれの若ゴキ
慌てて折れ戸を閉める
またしても不意打ち
殺虫剤は2階
裸で階段を駆け上がる
殺虫剤を手に浴室に戻り、折れ戸を少し開け
隙間から噴射ー---
若ゴキが閉鎖空間から逃げようと
折れ戸の隙間から顔をのぞかせる
ギャ~と叫びながらさらに噴射
若ゴキが一旦退く
なお噴射を続けようとした
が出ない
慌てて折れ戸を閉める
まずい
頼みの綱の殺虫剤がネタ切れだ
浴室からはかさかさと動き回る若ゴキの音
洗面台の下を開け、何かないか
あったー--
家庭の定番、キンチョール(蚊用)&パイプスルー?
若ゴキに通用するか
迷っている暇はない
再度、薄く折れ戸を開け隙間からキンチョーー---ル
今度は姿を出さない
思い切って折れ戸を全開に
床、壁、天井 若ゴキの姿はない
ただ排水溝からガサガサという音
殺虫剤でつるつるする床に片足を入れ
勢いよくお湯を出す
これぞ水攻め
上がってこない
ご臨終か
しかし確認する勇気はない
排水溝のふたを開けた瞬間、飛び掛かってくるやもしれない
この無防備な状態で応戦は不可能だ
かといってお湯を止めるわけにもいかない
えーい、こうなったらとことんやろうじゃない
若ゴキと同じ土俵である浴室に入り
カランをシャワーに切り替え
ボディーソープが効果的な攻撃であることを
祈りながら全身を洗い流す
排水溝に泡が吸い込まれていく
もしやパイプスルー使えるかも
シャワーを止め、
音を確認
若ゴキの気配はない
半分ほど残っている去年のパイプスルーを
排水溝にぶちまける
やれることはやった
静かに折れ戸を閉め身体を拭く
先のことを考えるのはよそう
とにかく今晩の安眠は確保されたのだから