築50年 レトロマンションの住み心地

離婚後、初めに住んだのは築約50年、エレベーターなしで4階建ての4階、
間取りは2Kのマンションでした。

玄関を入ってすぐにキッチンがあり、その横にはお風呂とトイレ、
キッチンの奥には和室2間がつながっており、その先にはベランダがあるという
典型的な古いマンションの長方形の間取りです。

ベランダは東向きで遮る建物もなく、日当たりは良好!
玄関は西向きですが、こちらも遮る建物はなく、マンションの前には大きな公園の木々が
広がっているため見晴らしはよかったです。

ただ風通しが良すぎてベランダが開いているときに玄関を開けると
真ん中の和室の天井が浮くんです。

その時は慌ててどちらかを閉めなくてはいけません。

平成15年ころの話です。
高層マンションがどんどん建設されているころです。

そんな中、部屋の天井が浮くんです。

でも子供たちにとっては玄関とべランドの両方が開いていると天井は浮くのが当たり前で
その際の対応も手慣れたものでした。

部屋を守るため家族4人が一致団結して行動する。
今思えば、このころ、この現象を「大変だ!」と感じたことはなく、
むしろ笑い転げながら対応していたのですから
人生において人が幸せと感じることって本当にわからないものです。

さて天井が浮く現象ですが不思議なことにいつも天井は水平に浮き上がり、
どちらかを閉めると必ず元の位置に戻りました。
一度として着地に失敗したことはありません。

この現象は科学的に当たり前のことだったのか、それともラッキーだったのか?
それはいまだに謎です。

給湯器もありません

お風呂を沸かすのは
玄関の横に外付けされた小さなシルバーの煙突でした。
煙突の根元には着火するためのつまみがあり
つまみを回すとボッという音とともに火が付きます。
ただしこちらも風が強い日は火が消えてしまいお風呂を沸かすことができません。


こんなアトラクションいっぱいのマンションでしたが
住人の皆様は暖かく、私は助けて頂くことばかりでした。

忘れ物

ある朝、長男が小学校へ行くため玄関を出、1階まで下りたものの
名札を忘れていることに気づき1階から4階に向かって叫んでいました。

私は部屋から名札を持ってきて1階で手を振る息子に向かって
名札を落とそうとしていたのですが、
その光景を見ていた同じ4階の住人の方が
「洗濯ばさみをつけて落としたらいいよ」と洗濯ばさみを貸してくれました。
言われた通りに落としてみると名札は一直線
子供の手に落ちました。

生活の知恵ってすごい!

名札だけで落としていたら軽すぎてこうはいかなかったですよね

何度も言いますが昭和ではなく平成15年ころの話です。

ガキ大将

またマンションの1階は駐車場になっており、子供たちにとっては格好の遊び場でした。

小学校高学年の子供たちは自転車を乗り回し、
低学年の子供たちはそのあとを追いかけています。
楽しそうな笑い声がマンションに響きます。

するといきなり「うるさい!」という怒鳴り声

でも子供たちは意に返す様子もありません
ガキ大将の男の子は「撤収」と声をかけ
高学年の子たちが低学年の子たちを連れて公園に移動していきます。

この時代、小学生の遊びの主流はゲームです。
でもマンションに集まる子供たちは「子供は風の子」と言う言葉がピッタリで
どこか懐かしく、そして頼もしくさえ感じられました。

このマンションには約10年住みました。

懐かしい思い出の場所です。

そして今もマンションは健在です。