強盗!!!

めっきり掃除をしなくなった!

部屋の隅では埃が綿帽子となり
拾い上げてくれるのを待っている。

そろそろ頃合いか!

ここでの注意点はただ一つ。
綿帽子の大きさである。
中途半端な大きさで拾い上げてはいけない。
小さな綿帽子たちが絡み合い、吸着しあって、
一つに成長してから拾い上げるのがコツだ。

私は成長した綿帽子を拾い上げゴミ箱に捨てた。

掃除はしなくなったが顔のメンテは怠らない。

お風呂上りには「今日も一日ご苦労様」と

ドラックストアーで買った大入りお得パックを顔に張り付けテレビを観る。

これぞ至福の時間。

幸せ~~~

強盗!!!

突然、部屋(DK)のドアがバッと開いた。

「ギャー」と叫び食卓の椅子から落ちそうになる私を見て

相手も「ギャー」と叫んでいる。

あまりのことにしばらく叫び声が止まらない。


息子だ。

インターホンを鳴らさずカギを開けて入ったという。

「びっくりしたーー!」という私に

「びっくりしたんはこっちやわ!」と私の顔を指さす息子。

顔面はパックでぐしゃぐしゃだ。


それにしても全く気付かなかった。

息子が来ると分かっていれば気付いたかもしれないが

時間は夜の9時半

誰かがDKに入って来るなんて想定もしていない。

息子でよかったぁ~

強盗だったらと思うと血の気が引く。


「僕が帰った後、しっかり戸締りしときや!」

やれやれ、ついこの前まで私が息子に言っていたセリフである。


私は鍵を閉め2階DKの食卓の椅子に座り、

乾ききった顔に2枚目のパックを張り付けた。